公的年金の情報

年金(料)払っても元が取れない、という声を聞くことがありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?

 

 

公的年金の本質は、『 公的制度による一生涯の保障 』です。

 

 

「年金」というと、「老後のことだから今は関係ない」と思われがちですが、実はそうではありません。

私たちは「年金保険料」を払い込みます。そのため、一定の障害状態になった時に年金が受け取れ、一家の大黒柱に万一の事があった時に遺された家族が年金を受け取れ、そしてリタイア後に生活保障として一生涯にわたり年金が受け取れる、という内容の保障が受けられるのです。これがいわゆる「社会保障」というもので、いわば「公的な保険」です。つまり、未来だけでなく、現在の生活に大きく関わっているのです。

 

 

ねんきん定期便に具体的な「今まで払い込んだ総額」と「それに対する老齢年金の受給見込み額」が載っています。

30代後半の私の場合でも、10年間つまり65才から75才まで受け取れば、元は取れます。

75才…ということは、男性でも女性でも平均寿命までカバーできることになります。

そして、平均寿命より長生きしたとしても、亡くなるまでずっと一生涯の年金が保障されます。

 

  

公的年金  =  障害保障  +  遺族保障  +  老後の生活費保障

 

  

確かに、それらの保障を受けることなく亡くなってしまった場合や受給の要件を満たしていなかった場合は、いわゆる「掛け捨て」になってしまうことがあります。

しかし、現実的に考えてみると、掛け捨てにならない確率の方が高いはずです。

今は、長生きの時代ですから。( 長生きしたい・したくないに関わらず )

そして、生きているからこそ、お金が必要になります。

公的年金と同程度の内容の保障を、民間の保険で全て準備するとなれば、「 就労不能保険 ➕ 収入保障保険 ➕ 定期保険 ➕ 終身年金保険 」に加入することになりますが、毎月数万円以上の保険料を支払わなければなりません。

ですので、公的年金については「 その保険料を払い込むことによって、 予想以上に長生きした場合でも、ある程度の生活費が一生涯保障される 」という風にとらえて頂いたら良いのではないかと思います。

 

 

 

※ 以下に表記する「子」とは「『18才到達年度の末日まで』といった年齢等の要件を満たしている、子」のことです。 

 

【  障害年金額  】

 

⚪️ 国民年金・厚生年金 共通 (障害基礎年金) ⚪️

 

1級 ➡︎ 975,100円 ( 月額 81,258円 )  +  子の加算額

2級 ➡︎ 780,100円 ( 月額 65,008円 )  +  子の加算額

 

⚪️ 厚生年金のみ (障害厚生年金) ⚪️

 

初診日において厚生年金保険の被保険者(在職中)である(あった)方は、1級・2級については障害基礎年金に以下の加算がされます。また、1級・2級の障害状態に該当しなくても所定の要件を満たす場合は、3級の年金 または 障害手当金という保障が受けられます。

 

1級 ➡︎ 報酬比例部分の年金相当額 × 1.25倍の金額  +  配偶者加給年金額

2級 ➡︎ 報酬比例部分相当額  +  配偶者加給年金額

3級 ➡︎ 報酬比例部分相当額 ( 最低保障 585,100円 )

 障害手当金 ( 3級より軽度の障害 ) ➡︎ 3級の2倍相当額  ( ※ 年金ではなく、一時金です。)

 

 

まとめ ★

国民年金被保険者 ➡︎ 障害基礎年金 (1・2級)のみ。

厚生年金被保険者 ➡︎「障害基礎年金 + 障害厚生年金(1・2級)」または「障害厚生年金3級」または「障害手当金」

よって、厚生年金の方が手厚い保障となっています。

 

 

 

【  遺族年金額  】

 

⚪️ 国民年金・厚生年金 共通 (遺族基礎年金) ⚪️

 

受給できる遺族の要件が、かなり限定されています。

①亡くなった被保険者により生計を維持されていた『18才到達年度の末日までにある子』がいる妻

② 子 ( 年齢等の要件があり、全ての子が対象となるわけではありません。)

 

子1人の妻 ➡︎ 1,004,600円 ( 月額  83,716円 ) 

子2人の妻 ➡︎ 1,229,100円 ( 月額 102,425円 ) 

子3人目以降は、上記「子2人の妻」に、各74,800円を加算した額となります。

 

※ 注意!※

『18才到達年度の末日までにある子』という要件に当てはまらなくなった(例えば、その子が20歳になった、など)場合、受給できなくなります。そもそも子供がいない妻は、受給できません。そして、夫はそもそも受給できません。

 

 

⚪️ 厚生年金のみ (遺族厚生年金) ⚪️

 

受給できる遺族の要件が、遺族基礎年金より広いです。

亡くなった被保険者により生計を維持されていた「 ①配偶者・子 ②父母 ③孫 ④祖父母 」の中で先順位の人。

※ 妻以外の人については年齢要件があります。 

  

遺族厚生年金額 = 亡くなった被保険者の老齢厚生年金 ( 報酬比例部分 ) の4分の3相当額  +  中高齢寡婦加算

 

※ 注意!※

遺族厚生年金については、既払込保険料や払込期間によって受給額が一人ひとり異なるため、ねんきん定期便で確認したり、受給見込額の試算を1年に1回くらいしておいた方が良いです。

 

 

★ まとめ ★

保障の手厚さが、遺族の状況によって異なります。

 

①「子のいる厚生年金被保険者の妻」または「子」➡︎ 遺族基礎年金 + 遺族厚生年金

②「子のいる国民年金被保険者の妻」または「子」➡︎ 遺族基礎年金

③「子のいない厚生年金被保険者の妻」 ➡︎ 遺族厚生年金

④「③以外の厚生年金被保険者の遺族」 ➡︎ 遺族厚生年金 ( ※ 受給するための年齢等要件があるため、必ずしも受給できるわけではありません。)

⑤「子のいない30才未満の厚生年金被保険者の妻」➡︎ 5年間の遺族厚生年金 ( 一生涯は受給できません。)

⑥「妻が厚生年金被保険者でない夫」または「生計維持要件を満たさず、子のいない厚生年金被保険者の妻」➡︎ 受給できません

 

以上のように、遺族年金については「子がいる妻」や「子」が、より手厚い保障を受けられる仕組みとなっています。

 

 

 

【  老齢年金額  】

 

⚪️ 国民年金・厚生年金 共通 (老齢基礎年金) ⚪️

 

満額で、780,100円  ( 月額  65,008円 ) 

 

※ 未納や免除の期間がある場合、上記より少ない金額になります。

※ 付加保険料を納付していた人は、付加年金が加算されます。

※ 配偶者の老齢厚生年金に「加給年金」がある状態で、65才になった人は「振替加算」があります。

 

 

⚪️ 厚生年金のみ (老齢厚生年金) ⚪️

 

老齢基礎年金 + 老齢厚生年金 ( 報酬比例部分 + 経過的加算 + 加給年金 )

 

※ 老齢厚生年金の加給年金は、配偶者と子、両方の加算があります。

 

 

★ まとめ ★

老齢基礎年金は、一律「満額で、780,100円  ( 月額  65,008円 ) 」です。

老齢厚生年金は、既払込保険料によって受給額が一人ひとり異なります。例えば「22才に入社・60才に定年退職」した男性の平均受給額は「月額 95,000円」です。

よって、厚生年金被保険者の老齢年金平均受給額は、国民年金被保険者の倍以上となっています。

 

 

 

【 よく見かける「公的年金平均受給額データ」の落とし穴 】

 

 

保険会社からもらうチラシを見ると、よく「年金の平均受給月額 約22.5万円」という数字を見かけます。

これは、夫婦2人で受給する場合の合計額です。 

実際には、働き方や世帯構成によって、大きく分けて6パターンのモデルケースがあります。

※ 全て平均的な数字です。約○○円と読んでください。

 

① 夫婦2人とも、自営業・厚生年金未加入の勤め人 ➡︎ 国民年金 月額6.5万円 × 2人分 = 合計月額 13万円

② 夫は会社員・妻は専業主婦等 ➡︎ 夫の厚生年金 月額16万円 + 妻の国民年金 月額6.5万円 = 合計月額 22.5万円

③ 夫婦2人とも、会社員 ➡︎ 夫の厚生年金 月額16万円 + 妻の厚生年金 月額13万円 = 合計月額 29万円

④ 独身で自営業・厚生年金未加入の勤め人 ➡︎ 国民年金 月額 6.5万円

⑤ 独身で会社員の女性 ➡︎ 厚生年金 月額 13万円

⑥ 独身で会社員の男性 ➡︎ 厚生年金 月額 16万円

 

以上のように、現実には「年金の平均受給月額 約22.5万円」より少ない受給額のパターンの方が多いことがわかります。

 

 

 

★★★  最後のまとめ  ★★★

 

 

上記の通り、人それぞれ、働き方・加入年数・払込保険料額・世帯構成などによって、年金受給額は異なります。

ただ、どの人にも共通して言えるのは、公的年金とは老後のことだけでなく、現在の生活を保障してくれる制度だということです。年金保険料を全く払っていない場合や受給資格期間を満たしていない場合は、この保障が受けられないので、ゼロから全て民間の保険で準備する必要があります。

 

 

最後のまとめとして、「 公的年金の保障を受ける前提で、足りない部分をいくら補ったら良いのか 」について、最低必要額の目安をお伝えします。

 

 

① 一家の大黒柱が障害状態になった場合 (子供独立済み または 子供なし) 

    ➡︎「 (1ヶ月の生活費 × 1.2) - 障害年金月額 」× 12ヶ月 × 大黒柱の方の平均寿命までの年数

 

② 一家の大黒柱が障害状態になった場合 (これから子供が進学予定)

    ➡︎ ①の金額 + 子供の人数分の教育費用

 

③ 一家の大黒柱が亡くなった場合 (子供独立済み または 子供なし)

    ➡︎「『 (1ヶ月の生活費 × 0.7) - 遺族年金月額 - 配偶者の手取り月収 』× 12ヶ月 × 配偶者の平均寿命までの年数 」- 死亡退職金額

 

④ 一家の大黒柱が亡くなった場合 (これから子供が進学予定)

    ➡︎「『 (1ヶ月の生活費  - 遺族年金月額 - 配偶者の手取り月収 』× 12ヶ月 × 子供が独立するまでの年数 」+ 子供の人数分の教育費用 +「『 (1ヶ月の生活費 × 0.7) - 遺族年金月額 』× 12ヶ月 × 子供が独立してから配偶者の平均寿命までの年数 」- 死亡退職金額

 

 

※ 持ち家か賃貸か、住宅ローンに団体信用生命保険がついているか、などによって必要金額が増える可能性があります。上記は、あくまでも目安ですので、個々の状況に合わせた準備が必要となります。