医療費の情報

家計においての医療費とは、予測できない臨時支出です。また、病気・ケガの治療が長引く場合、固定支出となることもあります。

 

どちらの場合も家計には大きな負担となりますので、その中で少しでも医療費の負担を軽くする方法をお伝えします。

 

 

 

【   薬代を抑えるために「かかりつけ薬局」を持ちましょう  】

 

 

★ 初めて利用する または 半年以上利用していない薬局では、いつも利用する(半年以内に利用したことがある)薬局で買うより薬代が高くなることがあります。そのため、病院で薬の処方箋をもらった後に行く薬局を毎回同じ所にすると、薬代を抑えられます。処方箋は3日間有効です。

 

★ 処方箋と一緒にお薬手帳を出すと、薬代が(少しですが)安くなります。お薬手帳は重要な履歴情報です。何をいつ飲んだということだけでなく、いつどこの病院に行ったということも把握でき、後々で何かと役立ちますので、なるべく毎回出すようにした方が良いです。

 

★ 毎回同じ薬局(かかりつけ薬局)にすることで、複数の病院にかかった場合の薬の飲み合わせもチェックしてもらえますので、安心です。そして、税金の医療費控除を申請する時、薬局ごとに金額を合計するため、薬局をひとつにすることで計算がラクになります。

 

後発医薬品(ジェネリック)を選ぶ方が、薬代を抑えられます。

 

★ 飲み残した薬は、捨てずに袋ごと置いておきましょう。➡︎ 例えば、半年前に風邪で病院にかかり処方された薬が飲みきる前に治ったため家に残っている…というような場合、また風邪をひいて病院にかかる時は、その薬を袋ごとお医者さんに見せましょう。今回の症状にその薬が効くと判断された場合は、薬の有効期限が来ていなければ使えるので、その分新たに処方される薬代を節約できます。 ( ※ 薬局では、処方箋の通りにしか薬を出せません(減らすこともムリです)。) 薬の有効期限は意外と長いことが多いです。

 

 

   健康保険について  】

 

 

日本の公的医療保険制度は「国民皆保険」といって、国民全員が加入することを前提にして成り立っている制度です。おおまかかには、会社員は健康保険・自営業者等は国民健康保険に加入し、75才になると両者とも後期高齢者医療制度の加入者になります。また、自営業者等の健康保険料は全額自己負担なのに対して、会社員の健康保険料については、会社が一部払ってくれるので(だいたい5:5)、保険料負担が軽くなるようになっています。

 

ここで重要なのは、健康保険料を払っているかどうかです。

 

会社員は給与天引きのため払い漏れがないですが、自営業者・年金受給者・無職 (会社退職後の方を含む)等の健康保険は、自動引き落としの手続きをしていなければ、送られてくる郵便局用の振込用紙を使って、自ら払い込まなくてはなりません。

もしも何らかの事情で払い込みが滞ると、どのような事態になるのか…。私たちが当たり前のように受けている「 医療費7割の給付 」がなくなり、つまり3割自己負担ではなく、10割自己負担になってしまいます。病院でもらった領収書を見て頂くと、実際に払ったのが3,000円の場合、本来の請求金額の欄には10,000円と載っているはずです。もし健康保険料を払い込んでいなければ、有効な健康保険証がもらえないので、丸々10,000円払わないといけないのです。しかも、下記の高額療養費制度や「 保険の情報 」ページに記載の公的医療保険による保障が全て受けられなくなります。

 

ですので、健康保険料を払わないことによる家計支出増のリスクは非常に大きいです。

逆に言うと、「毎月何でこんなに払わないといけないの?」と思いながらも、いざ病気ケガになった時、日本の公的医療保険制度によっていかに自分の生活が守られているかを、実感することになります。

 

もしも健康保険料を払うのがしんどいくらい収入が減った時 (災害・失業含む) などは、各市区町村に健康保険料の減免制度がありますので、払い込みを止めるのではなく、まず窓口で相談して頂くことをおすすめします。

 

 

【  医療を受ける時の自己負担について  】

 

 

① 医療費の一部負担金 ( 窓口での負担 )

小学校入学前 ➡︎ 2割

小学校入学後 〜 70才未満 ➡︎ 3割

70才以上75才未満 ➡︎ 一般所得者2割・現役並み所得者3割

75才以上 ➡︎ 一般所得者1割・現役並み所得者3割

 

                        +

 

② 先進医療にかかる費用 + ③ 入院中の差額ベッド代 + ④ 交通費 ( 通院時の電車・ガソリン・駐車・タクシー代・入院時の家族が使う同様の費用 ) + ⑤ 入院中の食事代 + ⑥ 入院中の赤ちゃんや高齢者のおむつ代 + ⑦ その他、入院中の身のまわり日用品代・テレビカード代・クリーニング代・遠方の病院で治療を受ける場合の自分と家族の宿泊費・見舞い時の家族の交通費や食費・快気祝い代・家事代行サービス・ベビーシッター・外食費・就業できないことによる収入減・日常生活費

 

 

※ 差額ベッド代は、自ら希望した時にかかります。個室だけでなく、2人部屋も対象です。個室が選ばれる主な理由は「 自分 または 家族の希望により、プライバシーが守られた落ち着いた環境で治療を受けたい( 受けさせてあげたい ) 」「 まわりに迷惑をかけたくない( かけられない )」「 余命が長くなく( 末期で )相当具合が悪い状態なので、個室にせざるを得ない。」といったものが多いです。

全国平均では、1日当たり5,820円ということですが、都市部の病院では1日当たり1万円〜1万5,000円の所が多いです。( それ以上かかる所もザラにあります。)また、救急でICU ( 集中治療室 )に運ばれ治療を受けた場合の差額ベッド代は、1日当たり2万円くらいかかります。

 

 

【  各市区町村による医療費助成制度  】

 

 

未熟児 ➡︎ 入院養育にかかる医療費を助成してくれます。

 

こども ➡︎ 中学生までのお子さんにかかった医療費の自己負担額を助成してくれます。ただし、市区町村によっては小学生までの助成だったり、所得制限の有無やどこまで助成してくれるのかの範囲についても、それぞれ異なります。

 

ひとり親家庭 ➡︎ 18才年度末までの子と、養育している親 または 養育者の医療費の自己負担額を助成してくれます。

 

65才以上の一定の要件を満たす人 ➡︎ 老人医療費助成制度といい、障がい・結核治療中・難病・ひとり親の方が対象です。所得制限あり。

 

障がい者 ➡︎ 65才未満で、障がい者手帳・療育手帳が所定の等級である方が対象です。所得制限あり。

 

自立支援 ➡︎ 障がいや精神疾患の回復のため治療を継続して受ける場合で、申請が認められれば、1割の自己負担で治療が受けられます。

 

※ 主なものを紹介していますが、各市区町村によって、実施の有無・各種要件が異なりますので、詳しくはご自身のお住まいの窓口でご確認ください。

 

 

【   高額療養費制度の内容と利用方法  】

 

 

高額療養費制度とは、1ヶ月にかかった医療費が自己負担限度額を超えた時、超えた分の払い戻しを受けられる制度です。自己負担限度額は、年齢・所得によって決められます。この制度は、健康保険の種類に関わらず、同じ保障内容です。( 手続きは、各健康保険の窓口でおこないます。)

 

 

【 例 】年収 約370万〜約770万 (健康保険:標準報酬月額28万円以上53万円未満 / 国民健康保険:年間所得210万円超600万円以下)の場合

 

1ヶ月ごとの自己負担限度額(70才未満) ➡︎ 「 80,100円 + ( 総医療費 - 267,000円 ) × 1% 」

 

例えば、4/1〜4/30に総医療費100万円の治療を受けた場合 ➡︎ 80,100円 + ( 100万円 - 26.7万円 ) × 1% = 87,430円の自己負担となります。

 

 

世帯合算といって、同一月に同一世帯(同じ健康保険に加入している者)で払った医療費は、合計してひとつの総医療費として計算できます。( 70才以上と70才未満で合算できる金額の範囲が異なります。)

 

多数回該当といって、1年間に同一世帯(同じ健康保険に加入している者)で3回以上、高額療養費に該当した時は、4回目から自己負担限度額が下がります。( 上記の例の場合は、44,400円になります。)

 

注意その1! ふた月にまたがった場合は、同じ日数の入院でも、ふた月分の計算になります。例えば、4/15〜4/30と5/1〜5/14に総医療費50万円ずつの治療を受けた場合 ➡︎ 80,100円 + ( 50万円 - 26.7万円 ) × 1% = 82,430円 × 2 = 164,860円 の自己負担となります。

 

注意その2! 高額療養費支給対象外の様々な自己負担があります。➡︎ 先進医療にかかる費用・入院中の食事代・差額ベッド代・赤ちゃんや高齢者のおむつ代・身のまわりの日用品・テレビカード代・クリーニング代・遠方の病院で治療を受ける場合の自分と家族の宿泊費・通院時の交通費・見舞い時の家族の交通費や食費・快気祝い代・家事代行サービス・ベビーシッター・外食費・就業できないことによる収入減・日常生活費

 

注意その3! 高額療養費に該当しない月が続くことで、多数回該当による軽減も受けられず、負担が重くなる場合もあります。➡︎ 例えば、毎月の医療費(3割自己負担) 7万円の支払いが1年間続いた場合、7万円 × 12ヶ月 = 84万円の自己負担となります。

 

注意その4! 70才未満の人は、医療機関ごとに「 外来・入院・医科・歯科 」の別に計算したそれぞれの自己負担額21,000円以上のものだけを、高額療養費の計算に含めることができます。➡︎ 例えば1ヶ月の間に「 医科外来を別々の病院で2件・各2万円の自己負担 」「 医科入院をさらに別の病院で1件・2万円の自己負担 」「 歯科外来を1件・2万円の自己負担 」で支払った場合は、高額療養費の計算に含めることができず、世帯合算もできません。ですので、先の例のケースで、70才未満の家族が4人いる場合、それぞれ高額療養費に含められない自己負担が各8万円あるとすれば、1ヶ月で32万円の自己負担ということもあり得ます。

 

 

 

手続きの方法

 

① 治療を支払った後で、請求手続きをして自己負担超過額を還付してもらう方法

 

病院に3割自己負担額を支払う ➡︎ 加入する公的医療保険に、高額療養費の支給申請 ➡︎ 高額療養費の支給を受ける (約3ヶ月後)

 

② 事前に限度額適用認定証の交付を受けて、病院の窓口で自己負担分のみ支払う方法

 

加入する公的医療保険に「限度額適用認定証」の交付を申請 ➡︎ 病院の窓口に「認定証」を見せることで、高額療養費の自己負担限度額までの金額を支払う

 

 

★ 高額療養費制度のおかげで、先進医療を受けない限りは何百・何千万といった金額の医療費がかからなくて済みます。

ですが「 ※ 注意その1〜4 」にある通り、高額療養費制度があるからそんなに医療費がかからない、というわけではありません。高額療養費制度ではカバーできない医療費負担については、民間の保険を利用して備える必要があります。

 

 

 

【   先進医療とは何か?  】

 

 

先進医療とは「 厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた、保険給付の対象とするかを評価中である治療方法 」のことを指します。

平成28年4月1日現在、97種類あります。 

97種類中、唯一「 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 」は、ほぼ全国各都道府県に一ヶ所は実施医療機関がありますが、他の96種類については、実施医療機関自体が少なく、もし治療を受けるとしたら、遠方まで宿泊・長期滞在をするつもりで行くことになるでしょう。

先進医療には、最先端のがんの治療が多くあります。

治療費も相当なもので、「 重粒子線治療 」は技術料平均 約304万円、「 陽子線治療 」は技術料平均 約259万円です。

この技術料は、保険給付がないので、全額自己負担ということになります。

ちなみに「 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 」は、白内障の先進医療で、技術料平均 約51万円です。

 

先進医療を受けるかどうかの判断は、患者本人の意思に任されています。そして、現実問題として「 どこで受けられるのか・いくらかかるのか 」だけでなく、本人の死生観や、そこまでするのか(したいのか)・体力が持つのか・本当に完治する見込みがあるのか・付き添いなどで家族に大きな負担をかけてしまうのではないか、といった考えから総合的に判断されるようです。

 

 

【   税金控除( 医療費控除 )の簡単な申請方法と控除の効果  】

 

 

★ 医療費控除の仕組み

同一住民票内の世帯全員の1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計が10万円を超える場合、還付申告ができます。

所得税については「 10万円を超えた部分の金額 × 申告者の所得税率 」が現金で還付されます。

住民税については、次年度の住民税額を決定する際の軽減効果があります。

 

 

★ 還付申告の方法

① 源泉徴収票( 同一世帯内で、一番所得の高い人の)・医療費の領収書( 病院・薬局・ドラッグストア等 )・源泉徴収票の本人名義の普通預金通帳を用意します。

② 領収書の金額を、それぞれの病院・薬局・ドラッグストアごとに合計して、適宜の紙に記入します。

③ パソコンで国税庁ホームページを開きます。

④ 確定申告書作成コーナーで「 申告書・決算書・収支内訳書等 作成開始 」をクリックします。

⑤ e-Tax または 書面提出 を選択します。

( 書面提出を選択した場合 )

⑥ 画面の内容通り、源泉徴収票や領収書の総合計額や振込先口座番号を入力して、還付申告書を印刷します。

⑦ 最後の画面に出てくる提出先へ、適宜の封筒に「 還付申告書・医療費の領収書と記入した明細 」を入れて、郵便で送付します。

⑧ 税務署での手続き完了後、還付金が指定口座に振り込まれます。

 

 

★ 医療費控除の効果

① 上記の還付申告による、所得税の還付。

② 還付申告手続き完了後、住民税の計算に使う所得から申告した医療費総合計額が差し引かれるため、次年度の住民税が減ることになります。

 

 

 

【   病院・薬局での支払いは、自分にとって一番ベストな方法で支払いましょう  】

 

 

現金で払うこともひとつですが、クレジットカードで支払えば、ポイントが貯まります。

総合病院では、だいたいクレジットカードが使えます。チェーン展開の薬局でも使える所があります。

クレジットカードを使うことにより、多額の現金を持ち歩かずに済みます。

最近では、退院後の支払いにカード払いを利用する高齢者の方も増えています。

ただ、クレジットカードに抵抗があったり、手持ちの現金で支払いを完了したいという希望があったりすると思いますので、自分が一番納得できる方法を選ぶことが良いと思います。

カード払いを利用される場合は、このHP内の「 クレジットカードの管理と有効活用の情報 」を参考になさってください。

 

 

 

【   入院時の治療費以外の出費を抑えるために、用意しておいた方が良いもの  】

 

 

上記の【  医療を受ける時の自己負担について  】や【  高額療養費制度の内容と利用方法  】で、様々な自己負担があることをお伝えしました。

それらをできる範囲で、自宅にあるものから用意することで、不要な出費を抑えることができます。入院が決まると、たいていの人は初めての経験に対する不安から「 いくらかかってもかまわないわ!」「 足りなかったら、売店で買ったらいいわ!」となりがちですが、経済的な心配は治療がひと段落した頃から必ずやって来ます。ですので、あらかじめ何が必要かを知っておくことで、精神的・経済的な負担を少しでも減らすことができます。

 

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